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シニアとよばれて

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2012年 07月 13日

カンジとパンバニーシャ

 兄のカンジ、妹のパンバニーシャ、二人っきりの兄妹。
二人はやっとの事で「相手」が教えてくれた言葉を覚えた。
話す事は出来ないが、「相手」が話す言葉は理解できた。
理解ができても話せないので、身振りで「相手」と
コミュニケーションを取る事を覚えた。

 カンジはとても優しい性格でいつもパンバニーシャのことを
気遣っていた、食べるものも兄妹で分け合い、自分のものさえ
妹にあげてしまうことも珍しくなかった。
 また、言葉を教えてくれた「相手」にさえも気配りをしていてた。
あるとき、いつもの匂いではない「相手」の体調を気にかけ

「大丈夫?今日は匂いが違うよ」と身振りで問いかけもした。

 あるとき、その「相手」がパンバニーシャをいじめようとした。
カンジは何故か分からなかったが、割って入った。

「いじめるなら、僕をいじめて」とパンバニーシャの前に立ち、手を広げ
首を横に振り、自分を指差したのだ。

カンジとパンバニーシャはボノボという類人猿、「相手」という「人」が
知能の実験の為に教えた言葉を素直に学んだ兄妹だった。

彼らに言葉を教えた事が良かったのかは分からない、既にそれまでの仲間とは
暮らしていけなくなっていた事を思うと不幸といえる。

 「妹をかばう」行動は唯一、つがう(可能性の)相手を守る行動だったにせよ
ボノボがもつチンパンジー以上と言われる「知性」に根ざしたものが
「守る」より「かばう」という
攻撃性の少ない、身を挺する行動がソレといかに関係するのかが
僕にとっての問題なのだ。
10年以上前にカンジの行動をテレビで見て以来僕はずっとそれを考えている。

サルに出来る事を今の社会は出来ずにいて、それが「知性の増大」によって
担保されるならそれはとても切ない話だろう、そして、同時にこういう風に
言葉にすると、なんとも薄っぺらな事になってしまうのは痛切に自分の
「知性」の無さを感じてしまうのもある。

いずれにしてもこれの答えはもう少し考える時間が僕には必要と言う事だ。

by nunuyoshi | 2012-07-13 01:16 | とりあえずここ


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